プロジェクト紹介

最終更新日:

NJPPP事業紹介パンフレット

NJPPPが現在まで実施してきた途上国・新興国の栄養改善に向けた取り組みや、今後の活動予定を紹介するパンフレットは、こちらからご覧ください。
(2022年2月末現在)
NJPPP事業紹介パンフレット【最終版】

はじめに

現在世界では8億人以上が飢餓で苦しみ、全人口の3分の1は栄養不足にあると言われています。また、成人のうち19億人は、栄養不足や過体重に苦しんでいます。「職場給食の栄養改善」は労働者の栄養や健康状態を改善し、雇用主にとっても大きなメリットがあることが証明されているものの、その取り組みは世界でまだ普及しているとは言えません。

このような状況を踏まえて、NJPPPは「アジアに進出する日系企業における職場給食の栄養改善」に取り組んでいます。日本の企業は、もともと従業員の健康管理への関心が高く、国内では「健康経営」の認証制度が広がるなど、経営層として職場給食の改善への社会的機運は高まっています。従業員との信頼関係が構築されている企業からは、給食の改善とその効果に関する実証実験への協力が得られます。NJPPPでは、この成果を起点として、その国の栄養改善の方向性を示すことができるのではないかと考え、東南アジア諸国でケーススタディを重ねています。

近年の取り組み

各国における取組みは、こちらからご覧ください。
インドネシア  カンボジア  ベトナム  ミャンマー  フィリピン

 

インドネシア

「職場給食のメニュー改善を通じた栄養改善」プロジェクト

開始年月
2016年8月
法人名
味の素株式会社、不二製油グループ本社株式会社
パートナー団体
十文字学園女子大学大学院、ボゴール農科大学
インドネシア大学
概要
 カラワン工業団地における工場労働者向けに、栄養バランスのとれた職場食を導入するプロジェクト。インドネシアでは、依然として栄養不足が存在すると同時に、栄養バランスの悪い食事を過剰に摂取することにより肥満といった生活習慣病が急増する「栄養不良の二重負荷」が課題である。食事に関する正しい知識を持ち、食習慣を変える「行動変容」の実現の場として、工場などの職場でのアプローチに注目した。
報告書
現地調査概要  現地調査報告書(2016年11月)
インドネシア・ジャカルタの家庭の食事実態調査報告書
インドネシア工業団地における工場食サプライチェーン基礎調査最終報告書
職場におけるインドネシア女性の栄養状態基礎調査(日本語要旨) オリジナル英文最終報告書 最終報告書別表(英文) 参照した文献リスト(英文)
インドネシア工場視察報告書(2017年2月)
「糖尿病・高脂血症ハイリスクのジャカルタ女性の健康改善に及ぼす粒状大豆たん白質の効果測定」に関する調査研究報告書

「給食提供による栄養改善」プロジェクト

開始年月
2018年11月
法人名
株式会社都給食、特定非営利活動法人国際生命科学研究機構(ILSI Japan)
パートナー団体
ボゴール農科大学
概要
 デルタマス工業団地において、バランスの取れた給食(職場食)の提供、現地学術機関の協力のもと栄養教育(スマートフォンアプリによる情報発信)、衛生教育等の食育を行うことにより、従業員の栄養改善を図る。2018年11月にプロジェクト導入協力工場を訪問、視察し、工場食の問題点を研究委託先のボゴール農科大学と解析した。その結果、食事の栄養バランスの問題に起因すると考えられる過体重、高血圧等が多いことが判明した。2019年2月~5月に実施したパイロットスタディでは、健康メニューの提供と栄養教育の組み合わせにより、摂取する食材の多様性が向上する等の行動変容実現の可能性が示唆された。2019年8月には、その結果についてジャカルタ郊外の2カ所の工業団地で日系の工場関係者対象のワークショップを行なうとともに、現地給食業者との情報・意見交換を実施した。現在、Phase2としての活動(野菜摂取に焦点を当てた新たな健康指標によるインパクト評価)を継続するとともに、他工場への横展開を進めている。
報告書
「インドネシアでの給食提供による栄養改善プロジェクト」最終報告書
「インドネシアでの給食提供による栄養改善プロジェクトPhase2」最終報告書(ダイジェスト版)

インドネシアにおける野菜摂取促進に関する調査

開始年月
2022年2月
法人名
株式会社大林組
特定非営利活動法人国際生命科学研究機構(ILSI Japan)
パートナー団体
株式会社メロス、IPB大学
概要
 インドネシアでは政府により野菜の摂取促進が推奨されているものの、人々の平均的な野菜摂取量は低く、栄養改善の実現において大きな問題として認識されている。野菜摂取の促進を妨げている要因としては、1)野菜のサプライチェーンが確立されておらず、消費者が良質の野菜を安価に入手することが困難であること、2)人々の野菜摂取の重要性に対する認識が低いため、野菜に対する需要が高まらないこと、の2つが主なものと考えられる。今回は2点目にフォーカスし、人々の野菜摂取に関わる状況と栄養摂取や野菜に対する認識を明らかにする調査を実施することで、野菜の消費向上に対する阻害要因を特定する。この調査に基づいて、人々の野菜摂取を促進する戦略を明確にし、品質の良い野菜の生産から流通までのビジネスモデルを検討するとともに、野菜摂取促進と国民の栄養改善の寄与を目指す。
報告書
野菜と生鮮トマトの消費に関する消費者調査結果(2021年度)
インドネシア国民の健康に関する栄養学的な解析(2021年度)

カンボジア

「栄養強化米を使用した健康増進」プロジェクト

開始年月
2017年8月
法人名
特定非営利活動法人国際生命科学研究機構(ILSI Japan)、DSM株式会社
パートナー団体
人間総合科学大学
概要
妊娠適齢期女性の微量栄養素欠乏は、母子の健康に深刻な影響を及ぼすとともに、職場(工場)においても欠勤率の増加、生産性の低下等を引き起こす。これらの状況を改善するために、カンボジアにおいて主食である米に一連の技術を使って不足栄養素を強化し製造した栄養強化米を使用し、食事からの微量栄養素摂取を高めると共に栄養教育を実施する。 これにより、導入工場の労働者の栄養状態の改善を実現すると共に、栄養に関する知識を深める。また、栄養強化剤製造業者にとっては、その販路を拡大する。
本プロジェクトは、現地NGOのRACHA(Reproductive and Child Health Alliance)の協力を得て実施する。倫理委員会の承認を獲得し、2018年11月から180名による12週間のパイロット実証試験を実施した。その結果、血清中葉酸濃度が栄養強化米飯の摂取頻度に比例して上昇し、有意に改善した。2019年7月、プノンペンにてワークショップを開催し、実証試験結果をカンボジア政府機関、国連WFP(World Food Programme:世界食糧計画)、現地企業等に情報提供した。現在、栄養強化米導入のスケール拡大を準備している。
報告書
カンボジアにおける栄養強化米を使用した健康推進戦略報告書
「栄養強化米を用いたカンボジアの職場における栄養改善効果実証試験」2018 年度報告書

「職場の栄養改善におけるブロックチェーン技術を応用した栄養啓発」プロジェクト

開始年月
2019年9月
法人名
株式会社富士通総研(2020年度よりRidgelinez株式会社)、特定非営利活動法人国際生命科学研究機構(ILSI Japan)
概要
 栄養改善の実現において、栄養リテラシーの向上、食生活に関する行動変容の実現は大きな課題であり有効な手法が確立されていないのが現状である。ブロックチェーン技術を応用したトークンシステムがそのための有効な手段となり得ることを、「職場の栄養改善」を例として実証し、栄養啓発活動に関わる新たなビジネスモデルを確立するプロジェクト。またカンボジア政府機関に積極的に関与してもらい、カンボジアの栄養改善に関わる国家戦略のひとつとして位置づけてもらえるようにする。
2019年12月には、効果的なインセンティブの提供による栄養リテラシーの向上・行動変容の実現を確認するため、カンボジア(プノンペン)の日系工場にて100名による2ヶ月間のパイロット実証試験を実施した。2020年度は、次年度実施予定の数千人規模に拡大した実証試験実施に向けて、得られた課題(参加率の向上・システムの改善)を修正する追加実験を実施。①ターゲット対象者や人数の選定、②参加者をけん引するリーダーの選定、③アプリのシステムといったポイントを見直した結果、参加率が向上し、栄養に関する知識の向上にトークンシステムが有効であることが示唆された。今後はゲーム感覚で楽しみながら、健康な食生活についての知識が向上するだけでなく、自身の栄養摂取状況に関心を持つ習慣が定着することが期待されている。
報告書
「職場の栄養改善」におけるブロックチェーン技術を応用した栄養啓発活動報告書(2019年度)
ブロックチェーン技術による栄養教育促進事業プロジェクト(ICTによる栄養啓発プログラムアプリへの登録および栄養クイズへの参加率/成果)(2020年度)
ブロックチェーン技術による栄養教育促進事業プロジェクト(食・健康・労働に関するベースライン調査報告)(2020年度)
ブロックチェーン技術による栄養教育促進事業プロジェクト(食・健康・労働に関するエンドライン調査報告)(2020年度)

カンボジアにおけるふりかけを通じた食習慣改善プロジェクト

開始年月
2021年9月
法人名
一般社団法人国際ふりかけ協議会
パートナー団体
Cambodia Fish Farm
概要
 伝統的に米食文化であるカンボジアにおいて、近年、安価で入手しやすいスナック菓子や清涼飲料水を食事代わりにする児童が多く、低栄養や将来の生活習慣病が懸念されている。この問題に対処するため、廃棄される魚の骨を利用した栄養価の高いふりかけを開発し、栄養教育と併せて配布することで、人々の栄養に関する知識を高め、ふりかけの普及と定着を通した栄養改善及び食習慣改善を目指すプロジェクトを開始。初年度である2021年度は、配布するふりかけを試作し、食習慣の変化を測定するため小学校において介入試験を実施している。
報告書
ふりかけを通じた食習慣改善プロジェクト報告書(2021年度)

ベトナム

「啓発型健康診断と栄養改善プログラム」プロジェクト

開始年月
2018年11月
法人名
花王株式会社
パートナー団体
弘前大学COI研究推進機構、株式会社ブリッジ
概要
 ベトナム・ハイフォン市をモデル地区として弘前COI(Center of Healthy Aging Innovation)研究推進機構が推進してきた啓発型健診と食事・栄養改善プログラム等を導入し、その有効性と定着性を検証する。職域、地域、学域の三地域での展開を念頭に置いて進める。
2019年1月及び2月に現地にて基礎調査を行い、啓発型健診の事業展開の可能性を確認するとともに、導入候補となる数工場を訪問し、プロジェクトの目的・内容・具体的な進め方について説明し、導入候補となる2工場を選定した。この基礎調査結果を基に、国際協力機構(JICA)の「2019年度第1回草の根協力支援型事業」に申請し、採択されたことにより、今後はJICAの支援の下で事業展開を図る。 2020年7月よりベトナム人を日本に招き「啓発型QoL健診」やフォロー教育、指導などを行う人材を育成する等の本格的な活動を開始する。
報告書
「ベトナムにおける啓発型健診と栄養改善プログラム事業の展開」に関する調査研究実績報告書

ベトナムでの健康食品活用及び野菜・果実摂取に関する基礎調査

開始年月
2022年2月
法人名
カゴメ株式会社
特定非営利活動法人国際生命科学研究機構(ILSI Japan)
パートナー団体
株式会社ブリッジ
ベトナム国立栄養研究所(NIN)
概要
 死因に占める非感染性疾患の割合が増加し、生活習慣病対策が重要な課題となっているベトナム。生活習慣病の予防として、野菜や果物からビタミンやミネラルといった栄養成分を摂取することが挙げられるが、現状ではWHOが推奨する1日あたりの野菜・果物摂取量(400g)に対して不足している人の割合が半数以上である。そこで、野菜や果実を使用した健康食品を普及させることで、ベトナムにおける野菜・果実の摂取量を向上させ、人々の栄養改善及び生活習慣病予防に貢献することを目指す。2021年度は、野菜や果実を使用した健康食品が効果的に普及するための方法を把握するため、ホーチミンを対象に基礎調査を実施する。
報告書
健康食品や野菜・果物に対する消費者の意識調査結果(2021年度)
ベトナム国民の栄養状態及び健康食品の現状(2021年度)

ミャンマー

「給食事業を通じた職場の栄養改善事業調査」プロジェクト

開始年月
2019年12月
法人名
ワールド産業株式会社、特定非営利活動法人国際生命科学研究機構(ILSI Japan)
パートナー団体
中村学園大学
概要
 ワールド産業株式会社は、ヤンゴン・ティラワ経済特区に隣接する地点にセントラル・キッチンを設け、特区内の日系企業を中心に1日に1,000食以上の食事を提供している。給食事業を通じ、現地従業員の食生活向上を目指すが、実際には栄養のバランスを考えずに食事を摂取していることから、現地従業員の健康状態は概して良くないことが想定される。よって、職場での栄養バランスの良い食事提供と栄養教育の実施が、従業員の栄養、健康改善に繋がるだけでなく、生産性改善を通して進出企業の利益にもつながることが期待される。また、本取り組みをきっかけとし、ミャンマーにおける栄養教育及び栄養士の資格制度創設等、国民の栄養改善実現のための国家的取組みへと発展することも期待している。その第一段階として、導入先工場の選定やミャンマー政府関係者等との連携の可能性を探るため、2020年1月に現地調査を実施した。これに基づき、2021年度にはヤンゴン郊外の工業団地における日系の工場をモデルとした職場の栄養改善の為の介入試験を実施する予定であり、その立ち上げのためのメニュー開発や調査を続けている。
報告書
「ミャンマーにおける給食事業を通じた職場の栄養改善事業」現地調査まとめ(2019年度)
ミャンマー職場の栄養改善プロジェクト2020(2020年度)

フィリピン

フィリピン米の栄養強化調査2021

開始年月
2021年12月
法人名
DSM株式会社、特定非営利活動法人国際生命科学研究機構(ILSI Japan)
パートナー団体
国連WFPフィリピン
概要
 フィリピンは、米の栄養強化に関する法律を制定した世界で初めての国であるが、鉄強化されている米はわずかしかなく、栄養強化米は普及していない。その原因を探るべく、普及のためのこれまでの取組みをマッピングし、サプライチェーン/アドボカシー/キャンペーンにおける問題を特定する調査を実施する。これらの結果に基づき、米の栄養強化に関する法律の実施に向け、より強力な政策を作成するための提言をまとめるとともに、米の栄養強化をビジネスとして実現させ、フィリピン国内の貧血の改善や栄養不良の改善に貢献する。
2021年度に実施した調査では、課題として①需要と供給のバランスの不均衡 ②サプライチェーンにおけるプランニングやロジスティク、調達面においての脆弱性 ③栄養強化米に対するコストと消費者が見出している価値のバランスの不均衡 ④国内での啓発プログラムが行われていないこと等が分かった。全体的な提言として、①需要の増加 ②生産拠点が不足している地域においての生産強化 ③生産コストの見直し ④価値向上のための啓発 ⑤成功事例からの教訓をもとにした他地域への展開 ⑥個々の地方自治体への働きかけ強化などが提案される。
報告書
インセプションレポート(2021年度)
「フィリピンにおける米の栄養強化に関するプロジェクト」最終報告書(2022年6月)